【ホワイトペーパー】採用アウトソーシングの6つのメリット:コスト抑制とリスク軽減

採用において、この3年間はジェットコースターのような激動の日々でした。

 

そのスピードが減速する様子はなく、財務、人事、タレント・アクイジション(TA)の各リーダーにとって、採用コストの削減とリスクコントロールの強化が最優先事項となっていることは、驚きではありません。しかしながら、こうした優先事項は優秀な人材を採用したいという意向と一見矛盾しているように見えます。採用への投資が厳密に精査される中、企業は採用成果を犠牲にすることなくコストを削減する、という困難な課題に直面しています。

そこで注目を浴びているのが、採用プロセスアウトソーシング(RPO)です。RPOは採用コスト管理を一変させ、大幅な効率化と削減を実現するだけでなく、適切なRPO企業は戦略的価値を付加する人材パートナーとして機能します。ここではRPOを完全に、もしくは部分的にも活用することで得られる6つのメリットについて説明します。

 

 

1 採用チームのコストリスク軽減

近年、新規採用の需要が目まぐるしく変化する中、企業は自社のタレント・アクイジション(TA)チームの人員増減を繰り返したりしています。社内に十分なリソースを持たない企業では、人材紹介会社に支払う費用の増加、ビジネスニーズを満たす質の高い人材が採用できない、といった課題に直面していました。

コストと実務の観点から、これはTAにとって持続可能なものではなく、財務的にも正当化できるものではありません。また、社内リクルーターが定期的に入れ替わることは、雇用主ブランドや企業としての評判を損なうことにもなりかねません。最近では特にハイテク業界でTAの解雇について多くの報道がなされています。

これについては、RPOソリューションの導入により固定費をバランスシートから大幅に削減することができます。RPO企業と緊密に連携することで、ニーズに合致した採用モデルを構築し、最新のレポーティングシステムでビジネス成果に即したKPI(重要業績評価指標)とSLA(サービスレベル合意書)に沿って成果を厳重にモニタリングします。自社のTAチームの人員を削減しても、外部のRPOチームが社内機能として加わり統合されます。つまり、採用活動の責任をRPOチームに委譲させながら、自社でコントロールすることができるのです。実際、コストとリスクに関してはるかに多くのことを管理できるようになり、社内人員を増減させることなく、採用業務のアジリティーを高めることができるのです。

社内のTAチームに関する課題や余分なコストとも無縁になります。RPO企業に依頼することの根本的なメリットは、採用人数の変動に対応した迅速なスケールアップやスケールダウンが可能であることです。そのような迅速な対応は、社内TAチームでは実行不可能でしょう。

 

 

2 従業員を採用する際の真のコストの理解

最近のコーン・フェリーの調査では、人事担当者の86%が自組織のタレント・アクイジションにかかる年間総コストを把握していないと回答しています。

雇用主は採用コストを厳しく管理する必要があります。しかしながら、真のコストが何かはほとんど明らかにされていません。適切なデータなしに、コストを把握し削減するのは困難です。

実績のあるRPO企業は、人事や財務のリーダーと協力して、現在のコストを正確に把握することから始めます。その上で、採用コストの削減と最適化に向けて現実的な目標を設定します。RPO企業は、それらの数値を解明し、TAコストを透明化・可視化するためのプロセス、手法、ツールを有しています。

さらに、RPO企業と契約する際、通常、契約期間中の一人当たりの採用単価に関する契約を結ぶことになります。そのため、採用コストの急上昇や市場動向による変動といった社内TAチームには常につきまとうリスクとも無縁です。その分、RPO企業はSLA(サービスレベル合意書)を満たし、KPIの定期的な報告に基づいた測定可能な結果にコミットすることになります。

RPOモデルではコスト計算が透明化されているため、費用を明確に把握することができ、パフォーマンスデータによって財務的影響とROIを定量化することができます。また、データとRPO企業から得られる知見は、企業の戦術的かつ戦略的なレベルでの意思決定にも寄与します。採用予算は最初に決めておくものではなく、採用成果に基づいて変更および再投資できるようになります。つまり、支出を適切にコントロールする術を得られるのです。

 

 

3 RPOによるグローバル標準化で得られる採用コストメリット

タレント・アクイジション(TA)モデルの標準化と専門化は、複数拠点を持つ事業においてコスト効率を向上させる最も効果的な方法の一つです。特に拠点や機能ごとに採用の仕方が違う場合はなおさらです。

RPOの導入による標準化、スケールメリット、プロセスの一貫性は、各地での存在感、知見、専門性を損なうことなく、大きなコストメリットをもたらす可能性を秘めています。それに加え、的確なテクノロジーの活用は、コストを削減し、ハイアリングマネージャーに常に優れたエクスペリエンスを提供する上での鍵となります。

RPO企業はTAテクノロジー市場を常に分析し、最も効果的なオプションを選択します。優れたRPO企業は、質の高い成果を上げ、費用を削減することを目的とした独自のツールやプラットフォームを持っているものです。リクルーターの生産性、雇用主ブランド、候補者とハイアリングマネージャーのエクスペリエンスは、すべて支出を抑えながら大幅に改善することができます。

テクノロジープラットフォームに加え、標準化されたコスト効率の高いベストプラクティスに基づいたプロセスによって一貫性が確保されます。タレント・アクイジションの基本を支える確かなフレームワークもあります。それでいてなお、さまざまな職種や地域市場に合わせて柔軟に対応する余地もあります。例えば、米国で時給制の製造作業員を採用するのと、経営者やリーダーを採用するのとでは大きく異なります。また、アジアで技術者を採用するのと、ヨーロッパで技術者を採用するのとでも全く異なります。つまり、人材を惹きつける力とアセスメントに対する柔軟なアプローチと各地の人材市場の状況や微妙なニュアンスについて、正しい理解を兼ね備えているRPO企業を選ぶ必要があるのです。

 

 

4 RPOのサポートによる社内のタレント・アクイジション改革

RPO導入のさらなる利点は、変革のプロセスをよりスムーズかつ迅速に行えることです。現在、社内TAチームの改善を計画している企業もあるでしょう。しかし、標準化されていない社内TAチーム全体に変革を促すのは、容易ではありません。時には対立するさまざまな視点を調整する必要があるでしょうし、より構造的なハードルも乗り越えなければならないでしょう。

また、ここ数年の混乱で変化に対する疲労感があり、進歩が止まっている可能性もあります。RPO企業は専任の実行部隊を有しているものです。そのため、プロのビジネスコンサルタントたちがTA機能において痛みを伴うことなく迅速に変革を推進していくことができます。実績のある管理手順、方法論、最も複雑な変革の取り組みを支援してきたツールを駆使し、変化を促進することで企業が望む結果を迅速に提供することができます。

つまり適切なRPOパートナーは、組織の長所を失うことなく、望み通りのスピードで変革を実現することができます。TA機能を向上させ、望ましい成果を達成するために必要なことを正確に理解しているのです。さらに、経験豊富な専門コンサルティング会社が主導することで、変革を受け入れられやすい土壌が社内にできます。

 

 

5 テクノロジーを駆使した採用の費用と成果の最適化

RPOソリューションによってコストを抑制することで、採用の質や成果が犠牲になるわけではありません。むしろ、アウトソーシングはタレント・アクイジションへのアプローチを強化し、費用を最適化する好機です。

信頼のおけるRPO企業は、特定の採用量を達成し、採用の質を高めるために、最高クラスのソリューションを共同開発します。理想的には、さまざまなクライアントや市場、国での経験やデータをもとに、何が効果的で何が効果的でないかについて客観的な見解を示します。そのアプローチは、ROIを実現することに焦点を当てながら、必要に応じてアドバイスし、導き、挑戦することです。新しいタレント・アクイジションモデルにコスト最適化を取り入れることは、相互にとって有益なものとなります。

実際の採用実務においては、RPOは候補者の獲得、アセスメント、管理における最新のベストプラクティスに最先端のテクノロジーを組み合わせて提供します。例えば、ソーシング・チャネルは、その運用結果に基づいて常に最適化されます。人材の需要と供給のデータを活用することで、最適な候補者を探すことに予算を集中させます。候補者とのコミュニケーションは、ROIを最大化するために常に修正・更新されます。

その結果、人材紹介会社への費用は大幅に削減され、同時に主要な指標も向上することになります。効率と価値が提供されていることはクオリティの高い報告によって実証されます。RPOパートナーはKPIを達成することに注力するため、契約期間中、常に利益と強化の間での限界を模索することになります。トップクラスのRPO企業は、常に採用活動のイノベーション、知識、テクノロジーに投資しています。そのため、契約開始当初にすでに最大の目的が達成される一方で、その効果は持続することになります。

 

 

6 一人当たりの採用単価だけではない、従業員のライフサイクル全般における改

RPOが目指すのは、質の高い採用を実現しながら直接コストを削減することだけではありません。よりスリムで効率的なプロセスを導入することで、採用までの時間や一人当たりの採用単価を削減し、業績をさらに向上させることができるのです。

TAは、採用に時間をかけすぎたり間違った採用をしてしまうことで発生する混乱や高いコストに配慮しながら、採用費の削減を図ることができます。質の高いRPOは、応募者の質を高めることで、候補者ショートリストの質を高めることも考えています。採用の質は、ソーシングの強化、EVP(従業員価値提案)の推進、アセスメントと候補者エクスペリエンスの改善によって向上させることができます。

適切な採用を行うことは、離職率を下げるという効果もあります。新入社員が最初の6ヶ月で辞めてしまう割合が高ければ、最終的に大きなコストがかかり企業業績の悪化につながります。うまく設計されたタレント・アクイジションモデルは、組織文化への適合性の確保、職務への現実的な期待設定、場合によってはオンボーディングへの対応によって、既存従業員の定着率を高めることにもつながるのです。

 

 

ケーススタディ:2,000人の採用での240万ドルの削減を実現

ヘルス・栄養・バイオサイエンス分野におけるグローバルリーダーのRPO活用の成果を紹介します。同社は、北米、中南米、EMEA、APACの30カ国において、年間で2,000人をも確保するという、複雑かつ大規模なスペシャリスト採用のニーズがありました。

コーン・フェリーは、複数のプロセスの強化や地域ごとにローカライズされたEVP(従業員価値提案)への新しいアプローチを特徴とするエンドツーエンドのRPOモデルを構築しました。そこで構築した新たな人材ソーシング、アセスメント、レポートツールは、同社のタレント・アクイジションの中核に位置付けられました。その結果、同社は2年間で、コーン・フェリーRPOにより人材紹介会社の利用をそれまでの50%以上から4%にまで減らし、初年度だけで年間240万ドルの削減に成功しました。

 

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